森川智之プライベート・コレクション

森川智之「歌」(2006年)レヴュー

(2008/4/20現在)

2006年

eternal ring [07.01.28掲載]

作詞只野菜摘
作曲西岡和哉
編曲西岡和哉
曲調ミディアムテンポ、シリアス、中音域から高音域、バラッド
収録 2006/1/25 今日から(マ)王!キャラクターソングシリーズVol.2 ウェラー卿コンラート
2006/1/25 今日から(マ)王!キャラクターソングシリーズVol.2 ウェラー卿コンラート (off vocal ver.)
2006/6/9 今日から(マ)王! ファン感謝祭〜眞魔国でもバレンタイン!?〜 (ライヴ・バージョン) (DVD)
2008/10/24 今日から(マ)王! ファン感謝祭II〜眞魔国でもジューンブライド!?〜 (ライヴ・バージョン) (DVD)
2009/8/26 今日から(マ)王!キャラクターソングベストアルバム 眞魔国名曲アルバム
備考「今日から(マ)王」のコンラッド(ウェラー卿コンラート)としての曲。

「泣きたいときに聴く曲」とかいうテーマで、 自分なりのコレクションを作った経験のある人は多いだろう。人それぞれ好みや、 ハマるパターンに違いはあるだろうが、森川さんの歌っている曲の中にも、 絶対にこれははずせないだろう、という曲は何曲かある。そしてこの曲は、きっと、 その中でもかなり上位に入り込むことだろう。ちなみに今ぱっと思い浮かぶ他の曲は、 「蒼い静寂」かな。
歌詞はたぶん、原作の世界観や、そこでコンラッドが過ごしてきた時、 彼の想いを思い浮かべられる人にとっては、切なくなるものではないだろうか。 CDとアニメと又聞きでしか知らない私でも、彼の心を想いながら歌詞を聴くと、 なんか胸が苦しくなるような感じがする。感情を表に出した言い回しや、 インパクトの強い言葉を使うのではなく、淡々としているぶん、胸を打つ。 いつも静かな笑顔でいる彼に、時には弱さを見せてもいいんだよ、 と言いたくなるような。
最初から最後まで、やわらかいやさしい声で歌っている。終始声はあたたかい。 逆にそのあたたかさが、歌詞の荒廃した情景を際立たせる感じ。どんなに荒れ果てても、 愛さずにはいられない、希望を捨てない強さ。声自体に切なさを出さないことで、 こんなにも雄弁に、内に秘めたつらさ、悲しさを語るだけでなく、 やさしさの中にある決して負けない強い想いまで表現しきっている。切ない。
アコースティックピアノとアコースティックギターの響きが美しい。 静かなアレンジと、流れるようでいて粘り強いメロディが、 表面的にはおだやかだが、ときどき内側の炎が見え隠れするヴォーカルを引き立て、 厚みのある曲になっている。とても物語性を感じさせる曲なので、 作品やコンラッドを知らなくても、充分に曲の魅力を堪能できると思う。 バラッド好きなら是非。


Love Me Tender [07.02.11掲載]

作詞Elvis Presley・Vera Matson
作曲Elvis Presley・Vera Matson
編曲西岡和哉
曲調スローテンポ、シリアス、中音域、ムーディな歌謡ロック?
収録 2006/1/25 今日から(マ)王!キャラクターソングシリーズVol.2 ウェラー卿コンラート
2006/1/25 今日から(マ)王!キャラクターソングシリーズVol.2 ウェラー卿コンラート (off vocal ver.)
2006/6/9 今日から(マ)王! ファン感謝祭〜眞魔国でもバレンタイン!?〜 (ライヴ・バージョン) (DVD)
2007/8/8 森川智之ディナーショー 冬の陽の暖かさに包まれて in 赤坂プリンスホテル (ライヴ・バージョン) (DVD)
2008/10/24 今日から(マ)王! ファン感謝祭II〜眞魔国でもジューンブライド!?〜 (ライヴ・バージョン) (DVD)
2009/8/26 今日から(マ)王!キャラクターソングベストアルバム 眞魔国名曲アルバム
2012/7/25 森川智之ディナーショー 冬の陽の暖かさに包まれて2012 in グランドプリンスホテル新高輪 飛天の間 (ライヴ・バージョン) (DVD)
備考「今日から(マ)王」のコンラッド(ウェラー卿コンラート)としての曲。

同じタイトルの別の曲、ではない。あまりにも有名な、あの曲である。 原作では、コンラッドがユーリに、うろ覚えのこの曲を、 子守歌代わりに歌うシーンがあるらしい(自分で読んだわけではなく、 話に聞いただけなので、微妙な間違いはあるかも)。 そういう意味では、原作好きにはうれしい選曲なんだろう。
もともと原曲が、というか、原曲の歌い手が、フェロモンまき散らし系の歌い方なので、 どれだけべっとりと色っぽい曲になるかと思ったら、意外とさらっとしている。 アレンジもリズムをはっきりさせた軽いジャズテイストで、 原曲の、ヴォーカルを強調するためか、極力抑えたアレンジに比べると、 かなりライトな感じ。そういう意味では、「子守歌」っぽくはないかもしれないが。 でも原曲は決して、子守歌じゃないよなあ(笑)。
歌い方も、意外とあっさり。やさしい声と歌い方で、ねっとり感を出さず、 さわやか系に仕上げている。キーも高くないし、張るところもないので、 お得意の裏声もない。とりあえず、コンラッドに耳元でシャウトされたら、 ユーリじゃなくても眠れないと思うので(笑)、それはそれで目的に叶っているというか。 でもまあ、森川さんの歌い方自体は色っぽいし、コンラッドも存在自体がアレなので、 素直に眠くなるかどうかは保証しない。ちなみに、ライヴで歌ったときは、 もうちょっと男っぽい「いい声」だった。キーは同じなんだけど、響きが違う。
エンディング最後に、吐息が聴ける。何か「吐息」としての物語的な意味があるのか、 それともこの曲とコンラッドのイメージからなのか、よくわからないが。 でも、その色っぽさにクラクラ、というもっぱらの評判だが、この吐息はそれよりも、 ライヴで歌ったときの恥ずかしそうな様子がいちばん見どころかも。


落日 [07.03.04掲載]

作詞kenko-p
作曲YUPA
編曲YUPA
曲調アップテンポ、シリアス、中音域から高め、ロック
収録 2006/1/25 犬夜叉キャラクターソングシングル 落日 奈落
2006/1/25 犬夜叉キャラクターソングシングル 落日 奈落 (リミックスバージョン)
2006/1/25 犬夜叉キャラクターソングシングル 落日 奈落 (オリジナルカラオケ)
2006/3/29 犬夜叉スペシャルキャラクターDVD 豪華絢爛 (MUSIC CLIP) (DVD)
備考「犬夜叉」の奈落としての曲。

奈落が歌うと聞いたときには、ご詠歌か呪文か、と言われたものだが、 蓋を開けてみたら、バリバリのロックだった。森川さん本人も、 この曲はイメージソング、奈落は歌わない、と断言している。そりゃそうだろうな。 少なくとも、こんなテンポのロックで声を張り上げたりはしないに違いない。
ロックとはいっても、アレンジが重たくて、ちょっと激しい感じで、 ヘヴィーに声を張るところがある、というぐらいで、癖のない聴きやすい曲である。 曲が激しい割には、シャウトやハイトーンを響かせる聴かせどころがないのが残念。 全然奈落の声ではないが、たぶんいちばん「いい声」で歌っているのではないか、 と思う。高くもなく低くもなく、ストレートに出てくる感じ。 そういう意味では、あまり凄みや悪役っぽい響きは感じられない。
歌詞はずいぶん、キャラクターを意識しているんだろうな、と思う。 強さがすべて、自分の思うとおりに事を運ぼうとするために、 他を犠牲にすることなど何も思わない。仲間というものを否定しながら、 普通はそういうときにはそう思わざるを得ない悲哀とかがあるものなんだが、 そんなことは全然なく、徹底的に悪役に徹している。 作品内での奈落の立ち位置と同じ。
全体として、かなり完成度の高い曲だとは思う。でも、突出した部分が見つからない。 たとえば、声が聴きどころか、というと、特にそういうわけでもないし、 曲調が珍しいか、ものすごくいいメロディラインか、ということも好み次第。 ここが他にない魅力、というのがない感じ。大きなプラスはないけれど、 全体的にマイナスはないので、ハイトーンではなくカッコいい歌声が好きで、 少しガシャガシャしたうるさめのロックでも問題なし、と思う人は試してみて。


THE END OF THE CENTURY [07.03.11掲載]

作詞ダミアン浜田
作曲ダミアン浜田
編曲広瀬充寿
曲調アップテンポ、シリアス、ハイトーン、ロック
収録 2006/2/22 非公認 聖飢魔IIカヴァーアルバム VOICE

とうとうこの曲にきてしまったか。(笑)
世の「カバーアルバム」というものには、何故作られたのか不明なものも少なくない。 リスナーの層がかぶっていたり、かぶっていなくても受け容れられそうな層なら、 原曲とは関係ないアーティストがカバーするのもアリだろう。 アーティスト本人が好きで作ったトリビュートアルバムなどは、 影響を受ければもともとの自身の音楽にその色がにじんでいたりするから、 大歓迎なファンも多いかもしれない。まあそんな話を何故、というのは、 要するに、このアルバムのコンセプトが不明だからだ(笑)。
聖飢魔IIを知らない人は、原曲を聴かないほうがいい。そのほうがこの曲を楽しめる。 いったいどこから出るんだ、と思わせる閣下のハイトーンと同じキーで歌わされた、 素晴らしい高音部分も、無理してるみたいだな、でも頑張ってるな、 リハーサルで4時間歌わせてもらえなかったのかな(爆)、と思いながら、 森川さんのハイトーン好きならそれなりにワクワクできるだろう。 ソロアルバムが出てから久しい今、キャラクターを作らなくてよくて、 これだけのハイトーンで歌ってくれる曲もそうそうないし。 たぶん彼らの色であり魅力であっただろう、リズムセクションの重さと響きも、 きっとそうなんだろうなあ、いつか原曲で聴いてみたいなあ、と思える。 そのまま原曲を聴いた気分になったら、聖飢魔IIには申し訳ないかもしれないけど、 でも一度原曲を聴いたら、この曲にどんな感想を持っても、私は責任を負わない。 もともとの聖飢魔IIのファンの方には……ごめんなさい。
好みはいろいろある。私もこう書きながら、 巧拙ではなく、やっぱり森川さんの声や歌い方のほうが好きだから、 聴くなら森川さんバージョンを聴くのだが(原曲や聖飢魔IIをあまり知らないから、 思い入れがないということもあるのかも)、 それでもやっぱり「ごめんなさい」の気持ちは消えない。 ああでもそれも、私が原曲のような厚い音のほうが好きだからなのかな。 どうせならガラッとアレンジ変えちゃえばよかったのに、と思わずにいられない。


世界一の口づけを [07.03.18掲載]

作詞デーモン小暮
作曲ルーク篁
編曲広瀬充寿
曲調ミディアムテンポ、シリアス、中音域から高音域、ロック
収録 2006/2/22 非公認 聖飢魔IIカヴァーアルバム VOICE

こっちのほうがもうちょっと歌のことを書けるかな。
なんというか、なんといってもオリジナルはオリジナル。 まったく独自に世界を作るのでない限り、どうしたって、 カバーはオリジナルを超えられない。なので、比較するのは無茶だし、 比較しないといけないということもないんだが、でも、 これだけ同じアレンジでカバーされると、やっぱりどうしても比較してしまう。
私は聖飢魔IIのファンではないし、森川さんのファンだから、 思いっきりひいき目があると思うが、この曲に関しては、 わりと善戦しているのではないだろうか。もしかしたら、原曲ファンでも、 原曲よりも気に入ってくれる人もいるかもしれない、と思いたいぐらいには。 森川さん自身も、「歌うこと」に対して余裕があったんじゃないかなあ、と思う。 リズムとテンポとキーを追うだけではなくて、曲としての表現を考える余裕、 という意味で。歌声にも緩急があり、聴いていても疲れない。 ところどころ、ちょっと裏返りかけたような歌い方をする部分があり、 ふっと力を抜いたときにそれが来たりすると、思わずドキッとしてしまう。 曲調からしても、お得意の切なげな色気は抑えていると思うんだが。 (別の方面のが満開になってる気がする(笑))
全体的に突き抜ける発声ではなく、かなり高音でも、 落ち着いた響きのある声で歌っている。 歌い出しなどは、本当に惚れ惚れするぐらいの「いい声」。 歌い方自体にはあまり癖がないから、声の響きを堪能するにはいいかも。


忘却へのオマージュ [07.03.25掲載]

作詞森由里子
作曲高井ウララ
編曲YUPA
曲調アップテンポ、シリアス、中音域高め、ポップ
収録 2006/2/22 Sound Cafe アンジェリーク〜秘密の花園〜
2006/4/19 アンジェリーク Dear My Angel
2007/1/17 ネオロマンス・ライヴ 2006 Autumn LIVE VIDEO (ライヴ・バージョン) (DVD)
2009/9/16 ネオロマンスhoney〜泣きたいときに〜
2011/12/28 ネオロマンス・ライヴ 2011 Autumn LIVE VIDEO (ライヴ・バージョン) (DVD)
備考「アンジェリークエトワール」のエルンストとしての曲。

この曲は、「エトワール」の設定になってから(つまり、 聖獣の守護聖になってから)発表された曲なのだが、 「トロワ」のエンディング後のようなイメージがある。 「離れて暮らす」ということの印象からかな。 エルンストとして歌った曲には、なんとなくストーリーがあるような気がする。 作詞の森由里子がそのあたりを意識しているかどうかはわからないが、 最初の「QUESTION」では、 自分の気持ちすら把握できていなかった彼が、こんな気持ちまで持つようになったのか、 せっかく「ANSWER」で答えを見つけたのに、 こんな展開じゃかわいそう、とか思ったり思わなかったり。
曲の印象としては、「H2O」に近い。 ライヴでのノリも考えると、雰囲気はすごく似ているのではないだろうか。 スタイリッシュな歌謡曲といった感じで、キャッチーなメロディライン、 盛り上げやすいメリハリのある展開など、歌うほうも聴くほうもわかりやすく楽しめる。 アレンジは電子楽器の響きを消さず、テクノチックな音に仕上げている。 ピ、ピ、と入る電子音が、エルンストのイメージ。エコーのように重なるコーラス、 エフェクトをかけた声の使い方など、細かい点を聴いてみるととても面白い。
でも、そういうアレンジにもかかわらず、とても生身の人間を感じさせる、 現実感のあるやわらかい曲に仕上がっているのは、たぶん、抑えることをせず、 少し高めのやわらかい、甘い響きを含んだ声で歌っているからではないだろうか。 エルンストを期待していると違うかもしれないが(彼がこれだけやわらかくなったんだ、 と思えば思えなくもないが)、キャラクターを離れて聴いてみることをお勧めする。 少し高めだが張りすぎない声に、お得意のちょっと裏声の混じる歌い方が、 ほとばしる気力さえ失ったあきらめの切なさを、ダイレクトに伝えてくる。 森川さんの、ちょっと可愛らしいタイプの声が好きなら、ゾクゾクするような、 このうえない至福の時間になるだろう。
エンディングで転調して、入りのサビを繰り返すのだが、 まったく同じメロディと歌詞なのに、音の響きが変わる。 普通は音が上がると、明るく開いた印象になるのだが、これはちょっと不安定になって、 不安感を感じさせ、切なさがより強調された音色になっている。 最初はそれでも余裕がある感じだったのに、想いがつのり、切羽詰まった感じ。 テンションが上がって盛り上がるから、エンディングサビの転調なんて常套手段なのに、 こんなにため息をつかされるなんて!!


wandering [07.04.01掲載]

作詞峰倉かずや
作曲西岡和哉
編曲西岡和哉
共演石川英郎 (デュエット)
曲調スローテンポ、シリアス、高音域、ヘビーなバラッド
収録 2006/3/24 WILD ADAPTER 04
2007/6/22 執行部+WA LOVE×ALL
2008/3/21 私立荒磯高等学校生徒会執行部+WILD ADAPTER LIVE GO THE LIMIT (ライヴ・バージョン) (DVD)
2012/7/25 執行部+WA WILD EXECUTION
2013/1/23 私立荒磯高等学校生徒会執行部+WILD ADAPTER LIVE GO轟音ON (ライヴ・バージョン) (DVD)
2013/11/2 最遊記+WILD ADAPTER Dice&Guns (ライヴ・バージョン、昼の部) (DVD)
2013/11/2 最遊記+WILD ADAPTER Dice&Guns (ライヴ・バージョン、夜の部) (DVD)
備考「WILD ADAPTER」の久保田誠人(「私立荒磯高等学校生徒会執行部」と同一人物)としての曲。

もう、WAの曲は、ほとんど解説がいらないというか、「いい」と言う必要もないし、 世界観はしっかり出来上がっていて、揺るがない曲調とアレンジも安心できるから、 重箱の隅をつつくような感想ばかりになってしまうのだが。
わびしささえも感じさせるアコースティックギターの音色で始まり、 すぐに不安定さを感じさせる、Wishbone Ashあたりにありそうな重い音に移行する。 低い音を響かせるリズムセクションに、バラバラに独自のメロディを奏でるリード楽器。 同じ曲を作り上げていながら、それぞれが自分の音で完結していて、他と馴染まない。 そういうバラバラな音なのに、不思議に調和している。 一緒にいるのに孤独、孤独なのに、一緒にいると落ち着く。
WAのテーマの根幹をなすような、救いのない世界観の歌詞。 孤独とやっと見つけたつながり、それを失うことへの恐怖。 最後の最後に、そうなの? そうだと思っていいのね?、と言いたくなるような展開。 そして、歌詞の最後にだけつけられた句点が、 言葉にせずとも力強くそれを肯定しているように思える。 でもそうでも、現実が夢とは違う、といえる根拠はないから、 救われているのかどうかの答えはたぶん、彼の心の中にしかない。
森川さんの巻き舌は、威勢がいいといよりも、舌足らずで頼りなげ。 最近の久保ちゃんは、どんどんか弱く儚く、淋しげになっているような気がするが、 歌のほうも、本編に負けず劣らず(笑)。というか、歌のほうが顕著かな。 そして、森川さんのソロパートにはないのに、石川くんのソロパートのほとんどで、 影のように従う、不協和なメロディラインのコーラス。何故か不安感がつのり、 時任の実体がぶれて、幻だったり夢だったりするんじゃないか、と思わせられる。 でも、ふたりとも真ん中に一緒にいる。歌声はひとりずつではなく、 デュエットのときには響きが混じり合う位置にいて、ふたりで生きている。 もしかすると、久保ちゃんの夢なのかもしれないけど。
そういう作品や歌詞の世界にどっぷり浸からないと、 この曲はさらっとは聴けない気がするが、そんなことも何もかもうっちゃって、 いちばんの聴きどころは絶対、最初のサビのため息のような「ずっと」だと断言!!


すべては棘ある薔薇色 [07.04.15掲載]

作詞YURIA
作曲ms-jacky
編曲ms-jacky
曲調アップテンポ、シリアス、ハイトーン、ロック調
収録 2006/3/24 SHUFFLE! ON THE STAGE キャラクターヴォーカルアルバム
備考「SHUFFLE!」の魔王フォーベシイとしての曲。

なんというか、何とも言い難い…(爆)。
曲調は、ひと言で言えば、重くないヘビメタ…というと、単なるメタルだけど、 それともちょっと違う気がする。派手目のシャカシャカした音ではあるんだが。 ドラムの音数が多く、いろんなタイコの音が聞こえるのだが、重くないので、 バタバタした印象は否めない。そしてそれに輪をかけて、ものすごくよく動くベース。 忙しないと感じるほど。このベースを演奏中の指を見てみたい。 たぶん、「歌うベース」が好きな私には、きっと大好物だ。
魔王というキャラは、その名前から受ける印象はあまりなく、 ほとんどギャグキャラである。カッコよく決めるときは大人でカッコいいんだけどね。 女性には声をかけないと失礼と思っているプレイボーイタイプでありながら、 奥さんにぞっこん、娘のためなら何でもする、料理も好きなとても家庭的な人でもある。 なので、キャラの声も、威厳がある落ち着いた声を使うことのほうが珍しく、 どっちかというと高めの、素っ頓狂でかわいらしい感じである。 そしてこの歌声も、かなりキーが高いこともあるが、全体的に細めでかわいい。 といっても、ミヒャエルのような歌い方とも違う。タイトで、甘さを感じさせない。 なんか、まさに魔王なら、ノリノリでこういう歌を歌いそうだ。 神王とともに学園祭に突撃をかける様子が目に浮かぶ(笑)。
歌詞は……すみません、よくわかりませんでした。 「魔王」と「プレイボーイ」から連想した言葉を並べて、 何かイメージの世界を作るとこれになるような気もするんだけど、 具体的にはイメージできない。 なので、あまり深くは考えず、言葉の持つイメージと曲調を組み合わせて、 それに魔王を乗っけて眺めておくのがいいのかもしれない。
曲自体の音域は広くない。 譜を追ってみればわかるが、ほぼ1オクターブを大きくははずれない。 ただ、転調や、ちょっと不安定なメロディラインもあり、歌いにくいかもしれないなあ、 とは思う。森川さんのように、感性で曲を捉えて歌える人だと、 あんまりそんなことは感じないかもしれないけど。 これだけハイトーンで歌っていながら、さらに突き抜けるようなパートがないのが、 ちょっと残念でもある。このタイプなら、聖飢魔IIじゃないけど、 もっと突き抜けたハイトーンシャウトでいくか、少し落ち着いて聴かせどころがあるか、 だと、もっといいと思うんだが。悪くない曲なだけに、もったいない感じ。


明日を拓く者たち〜FRONTIER〜 [07.04.22掲載]

作詞森由里子
作曲瀧田イサム
編曲瀧田イサム
共演小山力也、杉田智和、浪川大輔、真殿光昭、私市淳、岩永哲哉、冬馬由美、立木文彦 (合唱)
曲調ミディアムテンポ、シリアス、中音域高め、ポップス
収録 2006/4/19 アンジェリーク Dear My Angel
2007/3/28 ネオロマンス・フェスタ アンジェ舞踏会(パーティ) LIVE VIDEO (ライヴ・バージョン) (DVD)
2014/3/26 ネオロマンス20thアニバーサリー・イヴ LIVE VIDEO (ライヴ・バージョン) (DVD)
備考「アンジェリークエトワール」のエルンストとしての曲。

聖獣の守護聖の全員曲。タイトルからして、 新たにできた世界を創りあげていく、若さと力強さにあふれた曲である。 おだやかで高貴さを感じさせる神鳥の守護聖たちの曲に比べると、 荒削りだが親しみを感じさせ、大地に足をつけた体育会系(!?)の雰囲気。 たぶんこっちの主人公の腕は、前の主人公の腕の2倍の太さがあるに違いない(爆)。 「見守っているから頑張って」という神鳥の守護聖に比べて、 「一緒に頑張ろう」という雰囲気があるのは、 教官・協力者の「一緒に歩こうよ」で感じた、 親しみやすさを彷彿とさせてくれるのもうれしい。
いつも思うのだが、ネオロマンスの集合曲は、パートとキャラの割り振りが絶妙だ。 歌い出し(つかみ)のレオナードに始まり、 ひとりだけの女声のメルをどうするのかと思ったらCメロに持ってきたり、 いちばん曲の雰囲気に似合わないフランシスに、 ヤケクソのようなシャウト(!?)をさせたりとか(でも彼は息多めで彼らしく逆襲してる)。 そんな中で森川さんのエルンストが担当するパートは、2番のBメロ。 全員で歌うサビに持っていく前の重要なパートで、音の動きも大きく、 張らないといけない部分もあって、余裕をもって歌い上げる必要がある。 1番ではヴィクトールの立木さんに割り当てられているパートである。 こんなところでも、このふたりに対する信頼度が感じられる。
これだけの人数の歌だと、なかなか全員が揃って生で歌ってくれることも稀だが、 この曲はその機会に恵まれている。全員がステージの上に並び、 この曲を歌い出したときに、やっぱり「揃う」ってすごいことだ、と痛感した。 CDで曲だけ聴いたときよりも、ずっと、すごく盛り上がるいい曲だ、 ということに気付かされた。そう思ってまたCDを聴くと、あらためて、 集合曲としてとても完成度の高い曲だということがわかる。 キャラクター性が強いので、なかなかそうはいかないだろうが、 「僕たちのAnniversary」のような、一体感を感じられる曲だと思う。 また、自分もそれに参加しているという感じを味わう機会があるといいなあ。


Brand-New World [07.04.29掲載]

作詞森由里子
作曲大久保薫
編曲大久保薫
共演神奈延年、堀内賢雄、岩田光央、浪川大輔、成田剣 (合唱)
曲調アップテンポ、シリアス、中音域高め、ポップス
収録 2006/6/7 TVアニメーション「恋する天使アンジェリーク」アニバーサリーソング Brand-New World
2006/6/7 「恋する天使アンジェリーク」TVアニメ化記念スペシャルイメージPV Brand-New World (ビデオクリップ、ショートバージョン) (DVD)
2007/3/28 ネオロマンス・フェスタ アンジェ舞踏会(パーティ) LIVE VIDEO (ライヴ・バージョン) (DVD)
備考「アンジェリークエトワール」のエルンストとしての曲。

初のテレビアニメ化のアニバーサリーソングとして発表されたが、 アニメ本編で使われたわけではない、位置付けのよくわからない曲。 よくわからないといえば、メンバーの人選もよくわからないことのひとつ。
ソロパートはなし。 一部、2人or3人ずつ、パート分けして歌っているような部分もあるのだが、 どのパートを誰が、ということまでは、私の耳では特定できなかった。 ひとりひとりはたぶん、ソロで聴けば声と歌い方だけで誰かわかるぐらいには、 知っているとは思うのだが。それぐらい、「個」を感じさせないヴォーカルである。 声の位置もほぼ1か所にかたまり、こっちから誰、というのもない。 1本のマイクにみんなで群がっているような感じ。 よく聴けば、森川さんの声ははっきり聞こえる。 その声が聞こえるパートと聞こえないパート、というふうに分けていけば、 だんだん分化していけるのかもしれないが。いいや。そうやって別々に聴くよりも、 全体として曲の雰囲気を楽しむほうがいいような気もする。
曲調は、とても明るいポップス。リズムもはっきりしているが重くなく、 ブラスの派手な音や、しつこくない程度に、でも確実にリズムをきざむベース、 意外とお遊びの多いドラム。ギターやキーボードも、リードをとるよりも、 軽やかでリズミカルな明るい音を構成するほうに力を入れているようで、 ときどき入るフィルインが、本当に楽しそうだ。 メロディラインもひっかかるところがなく、ここがいい、というところも特にないが、 全体としてとても心地よく聴ける。何よりも、とても楽しい。 歌詞も曲のイメージにぴったりの、希望に満ちあふれ、楽しさやワクワク感がいっぱい。 何の歌か、とかいうことは考えず、 ひたすらこの明るさと楽しさを享受するのがいいのではないか。
ショートバージョンのミュージッククリップが付属しているが、その映像は、 神鳥の守護聖たちが船に乗って、「新しい世界(?)」にいる主人公(??)のもとへ、 といった内容。聖獣メンバーの出演はない。


Dearest You [08.04.06掲載]

作詞尾崎雪絵
作曲飯塚昌明
編曲飯塚昌明
共演立木文彦 (デュエット)
曲調ミディアムテンポ、シリアス、中音域高め、ポップス
収録 2006/8/23 Dearest You
2006/8/23 Dearest You (OFF VOCAL)
2006/8/23 2HEARTS Dearest You Music Clip DVD (MUSIC CLIP) (DVD)
2006/9/22 恋する天使アンジェリーク〜心のめざめる時〜1 初回限定版 (ショートバージョン、アニメエンディング) (DVD)
2006/10/25 恋する天使アンジェリーク〜心のめざめる時〜2 (ショートバージョン、アニメエンディング) (DVD)
2006/11/24 恋する天使アンジェリーク〜心のめざめる時〜3 (ショートバージョン、アニメエンディング) (DVD)
2007/2/23 恋する天使アンジェリーク〜心のめざめる時〜4 (ショートバージョン、アニメエンディング) (DVD)
2007/3/23 恋する天使アンジェリーク〜心のめざめる時〜5 (ショートバージョン、アニメエンディング) (DVD)
2007/4/25 恋する天使アンジェリーク オリジナルサウンドトラック (テレビサイズバージョン)
2007/5/23 LIVE VIDEO ネオロマンス・ライヴHOT!10 Countdonw Radio ROCKET★PUNCH! (ライヴ・バージョン) (DVD)
2007/8/1 Brand-New Future〜2HEARTS BEST ALBUM〜
2008/2/27 LIVE VIDEO ネオロマンス・ライヴHOT!10 Countdonw Radio II ROCKET★PUNCH! 2 (ライヴ・バージョン) (DVD)
2010/3/25 恋する天使アンジェリーク DVD-BOX (ショートバージョン、アニメエンディング) (DVD)
2010/5/19 2HEARTS 2nd LIVE "BLUE STEEL KNIGHT" DVD 2 (ライヴ・バージョン) (DVD)
備考「2HEARTS」(立木文彦とのユニット)としての曲。

「アンジェリーク」初のテレビアニメ、 「恋する天使アンジェリーク〜心のめざめる時〜」のエンディングテーマ。 エンディングだと、しっとりしたバラッドの場合が多いのだが、 この曲は、2HEARTSらしい、元気ソングである。 イントロのコーラスがしっとりと始まるのでちょっと騙されるのだが。
リズムを刻むのはもっぱら明るい音のドラム。ベースも控え目で、重たくならない。 ギターやピアノもリズム楽器としてよりも、適当に遊びつつ、 軽い自己主張でリードにからみ、全体的に明るい響きを作り上げている。 間奏のギターソロは、もう1本がからんできてツインリードになるところが、 「重くない」ロック好きにはたまらない。
Cメロで、ファルセットで歌うパートがあるのだが、そこから地声に戻るときが秀逸。 一度戻してからもう一度ひっくり返して、あれだ、ムーンサルトみたいな。 クルクルっと何回転かして着地。しかし、地声を張ったハイトーンの曲は多いが、 これほど綺麗にファルセットを響かせる曲はあまり覚えがない。 ファルセットでも全然センが細くならず、いつもの、色っぽくひっくり返すところが、 少し長くなった感じで、ゾクゾクする。 頑張っている子を応援する、元気になれる曲で、「色っぽさ」とは関係ないんだが、 こういうところで反則のように、ガードが甘くなっているところを攻撃された気分。 立木さんのハイトーンも素敵だ。渋いハスキーボイスだが、 ファルセットは響きのある澄んだ声で、森川さんの高音とはまた違った魅力がある。
2HEARTSの曲というのも、だいたい路線が定まってきたので、安心して聴ける。 ロック色が強くなると固くて(慣れた人以外には)近寄りがたい雰囲気になるが、 そういうハードさはなく、やさしくやわらかく力強いポップスなので、親しみやすい。 ちなみに、初回限定版に付録のDVDに収録されたPVは、 前作「MOON VENUS」とはうってかわった、 ハレーションでも起こしかねないくらい光にあふれた、明るい映像。


賽を振れ [08.04.20掲載]

作詞尾崎雪絵
作曲飯塚昌明
編曲飯塚昌明
共演立木文彦 (デュエット)
曲調アップテンポ、シリアス、中音域高め、ロック
収録 2006/8/23 Dearest You
2006/8/23 Dearest You (OFF VOCAL)
2007/5/23 LIVE VIDEO ネオロマンス・ライヴHOT!10 Countdonw Radio ROCKET★PUNCH! (ライヴ・バージョン) (DVD)
2007/8/1 Brand-New Future〜2HEARTS BEST ALBUM〜 (live ver.)
備考「2HEARTS」(立木文彦とのユニット)としての曲。

飯塚さんは、2HEARTSのマキシシングルのc/wは冒険作と決めているんだろうか(笑)。 メインの曲は、アニメのエンディングとかで制約が多いから、 そのぶんのストレス(?)が炸裂するのかな。
「ギャンブラー!」で充分に驚かされたし、 今さらびっくりはしないが、相変わらず、ロック好きの血を踊らせてくれる。 ギンギンのギターリフや、ズシズシと沈み込むように歌うベース、 メインの曲と同じタイコかと思えるような重いドラムス。それでいながら派手な音。 細かい解説をするよりも、できれば大音量で空気を震わす音を体感してほしい、 と思わずにいられない。
コーラスも一筋縄ではいかない。 絶対普通にはしないぞ、という、プロデューサの強い意志を感じる。 注意深く聴くと、あちこちからいろいろな声色が何重にも重なっているのが聞こえる。 ヴォーカルは加工をしない生の声だが、 声自体を楽器のように扱って他の楽器と絡み合わせ、ギラギラした音に組み込んでいる。 素晴らしいハイトーンシャウトも、疲れを知らない楽器たちに挑戦するかのよう。
腹の底にたまったものが口を突いて出てきたような、挑戦的で攻撃的な歌詞。 足元に落ちていた武器を拾って敵に向かって駆け出しそうな、そんな情景が思い浮かぶ。 元気がもらえるなどという甘っちょろい期待はどこへやら、呆然と見守りながら、 きっと2HEARTSは不死身だ、と信じずにはいられない(笑)。
挑戦的な歌詞と挑戦的な曲調、限界を知らないアレンジとヴォーカル。 ヴォーカリストたちにより高い水準を求めるプロデューサには、 本当に両手放しで感謝の言葉を贈りたい。


風よ [07.05.20掲載]

作詞こさかなおみ
作曲大久保薫
編曲斉藤聡
曲調スローテンポ、シリアス、中音域高め、バラッド
収録 2006/11/10 彩雲国物語 ドラマCD2 番外編〜「静蘭と劉輝」・「親睦花火大会」〜
2008/3/7 彩雲国物語 Song of Memory
備考「彩雲国物語」の藍楸瑛としての曲。

作品では重要なアイテムとなる二胡をアレンジに使用、というのが、 発売前の売り文句だったが、主にイントロや間奏で使われているだけである。 特に曲調自体も大陸的というわけではない。ごく普通のバラッド。 さすがに二胡アレンジの部分は、悠久の大地を感じさせる広がりがあるが、 それ以外は、子守歌にしてもいいような、おとなしいバラッドである。 エンディングサビで、二胡がやっと歌にからんでくるのだが、 それまでの普通のアレンジに、ストリングスの代わりに無理矢理二胡を入れた感じで、 ちょっとミスマッチかも。全体をイントロのような、ちょっと大陸的な音にして、 曲全体をそういう雰囲気に作ってしまったほうが、 もっと面白い曲ができたんじゃないかと思う。
歌詞は、最近出た新刊で明らかになった、彼の想いの設定を考えると、 こういう気持ちで故郷にまで吹く風を感じられる日が、早く彼に訪れてほしい、 と思う、そういう豊かでおだやかな内容である。飄々として、 相方に「常春」と怒鳴られながらも、一途な想いを隠し持つ彼らしいかもしれない。 そしてできれば、もっと別の女人にも気持ちを向けられるようになるといいのに、 というのは、私の勝手な気持ち(藍将軍は好きなので、ついついそう考えてしまう)。
キー自体はわりと高めなのだが、発声が高音ではなく、上に抜ける声ではない。 カッコつけすぎないハンサムボイスで、ものすごく自然な中音域で歌っている。 こんなおだやかな曲でもラ行が巻き舌になっているのは、森川さんらしい。 この自然さはたぶん、藍楸瑛のイメージからなんだろう。藍将軍は、 確かに剣も強く頭もいい、少女漫画(小説)にはありがちなスーパーマンなんだが、 この作品自体が(いろんな意味での)スーパーマン以外は出てこないので、 彼のようにすべてに難のない平均的スーパーマンは、却って特徴なく埋もれてしまう。 まあでも、彼といれば、たぶんいちばん普通で穏やかな日々が過ごせるだろう、 と思える、本当はいちばん得難い人なのかもしれないんだが。
そんなことを考えてしまう、そんな感じの曲である。 ひと言でいえば、いい曲なんだけど特徴がなく印象に残らない。 でも、ずっと聴いていても鼻につかず、心地よい。二胡だなんだには期待せず、 泣きたくならない、やわらかいバラッドが聴きたくなったときにどうぞ。


Shining [07.06.03掲載]

作詞KAB.
作曲池上真也
編曲陳翔副
共演岸尾大輔 (デュエット)
曲調ミディアムテンポ、シリアス、高め、ポップス
収録 2006/11/22 水の旋律2〜緋の記憶〜 Flame Series I 安曇康秀 with 式部吉乃
2006/11/22 水の旋律2〜緋の記憶〜 Flame Series I 安曇康秀 with 式部吉乃 (安曇康秀Ver.)
2006/11/22 水の旋律2〜緋の記憶〜 Flame Series I 安曇康秀 with 式部吉乃 (off vocal Ver.)
2007/3/21 水の旋律Sweet Box
2007/3/21 水の旋律Sweet Box (オルゴールVer.)
2007/3/21 水の旋律Sweet Box (安曇康秀Ver.)
2008/12/25 男子声優Vocalアルバム 乙女ヨーグルト
2006/11/22 水の旋律2〜緋の記憶〜 Flame Series I 安曇康秀 with 式部吉乃 (式部吉乃Ver.) [歌:岸尾大輔]
備考「水の旋律2〜緋の記憶〜」の安曇康秀としての曲。

デュエットなのだが、ふたりとも同じ曲をフルで歌い、 それを組み合わせてデュエットにする、という珍しい作り。 デュエットだって一緒に収録されることはほとんどないようだが、 それでも相手を意識しながら歌うのが普通だろうから、こういう構成は面白いというか、 ソロで聴いても組み合わせてデュエットにしても完成度が高くなるように歌う、 というのは、かなり難しいのではないかと思う。フレーズごとに担当していたり、 ユニゾンで歌っている部分はいいとしても、細かく交互に分けているところは、 声の響き方の違いが目立ち、ちょっと違和感を感じるときもあるのはしかたないか。 CDには、それぞれが全曲歌ったバージョンも収録されている。 デュエットで声の色のバリエーションや厚みを楽しむのもいいし、 全編森川さんのバージョンに没頭するのもいい。 もちろん、全編岸尾くんバージョンだって!?
森川さんのキャラは生真面目な高校生、岸尾くんのキャラは軽口のプレイボーイ風。 立場的にも岸尾くんのキャラのほうが偉いようで、いつものふたりの担当とは逆だが、 それぞれかなりキャラを意識したらしい歌声になっている。岸尾くん、頑張ったなあ。 森川さんは、ドラマCD収録時には「もう5歳若く」と言われたという、 曰く付きのキャラ(笑)だからなのか、えらくかわいい。 上に抜ける声というよりも、外に開いた、明るくて若々しい歌声。 優等生の高校生らしく、かっちりとした中にも若さにあふれた、 張りのある声を聴かせてくれる。ところどころ、それは安曇にしてはくだけすぎでは、 という、セクシーな響きが混じるところがあるのも、なかなか楽しい。
あまり特定の分野に走りすぎない、ごくごくノーマルな明るいアレンジ。 ストリングスやコーラスで広がりがあり、ポップな曲調と相俟って、 誰かが歌うのに聴き惚れるというより、一緒に歌いたくなるような親しみやすさがある。 技巧に満ちた、マニアックな曲もいいが、ときどきはこんな曲もいい。 そして、そんなにも明るく暢気そうな曲調だが、歌詞は作品の世界観を踏まえた、 けっこうハードな内容である。それでも、決して後ろ向きではなく、 希望を捨てない若さがある。世界観はほのめかす程度なので、 知らなくてもなんとなくイメージできるから、作品から離れても楽しめる。 そういえば恋愛ゲームだったっけ、と思い出させてくれるところも、ちょっとだけ。
細かいところを聴き込むというより、さらっと楽しむほうがいいかも。


Love is pain [07.07.01掲載]

作詞森由里子
作曲渡辺拓也
編曲渡辺拓也
曲調アップテンポ、シリアス、中音域高め、ロック
収録 2006/12/21 恋する天使アンジェリーク キャラクターソングVOL.14〜エルンスト〜
2007/12/19 ネオロマンス・フェスタ9 LIVE VIDEO (ライヴ・バージョン、ショートバージョン) (DVD)
2008/2/27 恋する天使アンジェリーク ヴォーカルベストアルバム Avec toi pour jamais
2008/4/9 恋する天使アンジェリーク ドラマアソート (カラオケ)
2009/12/23 ネオロマンス15thアニバーサリー LIVE VIDEO 初回限定版 (ライヴ・バージョン、ショートバージョン) (DVD)
2011/12/28 ネオロマンス・ライヴ 2011 Autumn LIVE VIDEO (ライヴ・バージョン) (DVD)
備考「アンジェリークエトワール」のエルンストとしての曲。

エルンストのこんなにハードな曲は久しぶりだ。 このところ、他の曲との対比でバラエティ豊かにするためか、 おとなしめだったり、明るい盛り上がりやすいポップスだったり、と、 ロックっぽい曲がほとんどなかったから。たぶん、このタイプは、 「異次元飛行〜αtoω〜」以来。 でもかなりパワーアップしている。いやもう、 全然エルンストがこんな曲を歌うとは思えないんだけど(笑)。しかもこんな歌い方で。 もうそれは考えないことにして。「アンジェリーク」のキャラソンは、 一定以上の水準の曲を作ってくれるので、本当にうれしい。
ドコドコと重くうるさいぐらいに叩くドラムのリズムが、全編にわたって響き、 それに少し歪んだリードギターの音がからむ間奏を聴くと、ロック好きの血が騒ぐ。 リズムギターもベースもほとんど自己主張せず、リズムをきざむのに徹しているが、 それでもときどき、我慢できなくなったように耳に飛び込んでくる。 メロディラインには、歌謡曲風な部分もあるが、 アレンジやヴォーカルのロックテイストが、 そのキャッチーさを却っていいスパイスにしている。 発売当初、CD不良(音飛び)かと騒がれた2コーラス目のブレイクも、 ありがちといえばありがちだが、ステージングが目に浮かぶようで面白い。 同じことの繰り返しになりがちな2コーラス目Aメロの、 いいアクセントになっている。
突き抜ける響きでないのが残念なヴォーカルも、優等生のクールさではなく、 熱くほとばしる想いが口を突いて出てきたような、情熱的でハードな歌い方である。 それでいながらノーブルな雰囲気も失わないのが、森川さんの素敵さでもあるけど。 ところどころ息を抜いたり、お得意の声をひっくり返す歌い方をしているところもある。 歌謡曲っぽい部分のメロディラインは、 吐息混じりに歌うとピンクや紫の照明が当たりそうなんだが(笑)、 それでもハードな印象のほうが強い。 理性で抑え付けようとしても爆発してしまう情熱を歌った歌詞と相俟って、 詞・曲・アレンジ・ヴォーカルが一体となった、完成度の高い曲だ。 どれかひとつだけ取り出しても、それだけで突出した感じではないが、 これだけすべての要素がシンクロした曲も、そうそうないのではないかと思う。
やっと、ライヴでのハードな音が期待できる曲が、 「QUESTION」以外にできたんじゃないか、 と思える。生バンドアレンジが楽しみだ。 今でこそハイトーンシャウトのハードアレンジが当たり前になってしまったが、 「QUESTION」は本来はテクノポップだったし、他の曲だって、 アレンジによっていくらでも変わる可能性はあるんだが、 この曲は正統派なので期待が大きい。森川さんのハイトーンファンとしては、 もうちょっとキーを上げて、シャウトと織りまぜてくれると言うことはない。
本来の「ロック・ヴォーカリスト森川智之」のファンとしては、曲調では、 ネオロマソングではこの曲がいちばん好きかもしれない。ずっと、 「静かな夏の物語」だと思っていたんだが、 それはヴォーカリストとしてよりも、 森川智之本人のファンとして好きなような気がするから。


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