1位と2位の「ブラックホーク・ダウン」「セッション9」は好き嫌いが分かれる作品で、
人によっては退屈で楽しめないと思う。
「ニキータ」は古い作品だけど、スタイリッシュなアクションは今観てもクール。
ジョニー・デップ主演の「ブロウ」は映像、音楽が魅力的。
個性的な役者の演技が楽しめる「ハートブレイカー」。
「チューブ・テイルズ」は音楽と映像のセンスの良さ。
個人的な趣味で「セッション9」を選んだ。知的な映像表現だと思う。
吹き替えメンバーが1人3役以上を演じ、吹き替えの面白さ、
楽しさが味わえる「チューブ・テイルズ」。
緊迫感溢れる台詞の応酬が魅力の「レイジングプラン」と「ダッド・サベージ」。
個性的なキャラの演技が楽しめる「ハートブレイカー」と「炎の少女チャーリー」。
「グランド・クロス」と「パズル」は森川智之の二枚目演技が堪能できる(笑)。
誰が目立つということもなくアンサンブルのいい吹き替えだった、
「ゼロ・トレランス」、「エグゼクティブ・プロテクション」、
「セッション9」の中から、森川智之が主役で珍しく渋めの男を演じた
「エグゼクティブ・プロテクション」を選んだ。
デップは隙のない計算された演技の巧さ。
地味で曖昧な印象なんだけど気になる役者のエクルンド。
新人とは思えない落ち着いた演技をしていたハートネット。
ジョニー・デップで決まりのはずが、締め切り間際に滑り込んだ作品、
「セッション9」のピーター・ミュランになった。
理由は上手く言えない…表情かな。
二枚目から三枚目までバラエティに富んだ役柄が並び激戦。
二枚目では、繊細な感情表現が魅力的だったシモン。
怒鳴る場面で急に逞しく張りのある声になるのが少々気になった。
声量のあるイイ声だと弱々しく掠れる、という表現は難しいのだろうか。
対照的に快活な命令口調が多く、声の良さと魅力を発揮できたドレイク。
一瞬だけど(笑)、悪役のセクシーさが出ていたヴィック。
軽めの悪役で様々な表情をみせてくれたジャック。抑えた渋い大人の演技が
新鮮だったユーアン。三枚目のモーとヴィック(親指ブレアサム)も可愛かった。
モーのマイペースな無邪気さ、拗ねたような可愛さは、
他の役者には出せない味だと思うし、親指初のノミネートとなったヴィックは、
お茶目!の一言。ドレイク、モー、ユーアンで悩み、ドレイクを選んだ。
天性の声を生かし自由に自然にカッコよく演じている、という印象。
役柄、役者のイメージにも非常によく合っていた。
その他、助演なのでノミネートできなかったジャック(「ハートブレイカー」)、
ヴィンセント(「炎の少女チャーリー」)、ジェフ(「セッション9」)も挙げておきたい。
ナチュラルな好青年ぶりで、ほっとする癒し系のジャック。
頼りないけれど正義感があり真面目なヴィンセント。
トロくて単純だけど気のいいジェフ。
偶然なのか、森川智之の声質によるものなのか、
3人とも個性的なキャラの中で振り回される、
ちょっと頼りなげな普通の青年という役どころ。文句のない演技だった。
ジャン・レノはキャラの面白さ、デニス・ホッパーはクールな存在感。
何がと言えない不思議な魅力が新鮮だった寺杣昌紀。
宮本充の酔っぱらい(第3話)は演じる楽しさが伝わる演技。
説教師を演じ、味わい深い黒人霊歌を聴かせてくれた村田則男。
それぞれ役柄と声が同時に思い浮かぶ印象度の高い演技で表現も個性的。
中でも独特のスタイリッシュな演技が、過去、現在、未来が見える男、
リチャードソンという謎めいたキャラにぴったりだった佐々木梅治を選んだ。
彼の台詞回しは好き嫌いがあるだろうけれどクセになる味。
順当に選べばハートネットだろうか。
彼が出演し森川智之が吹き替えた作品「フォルテ」、
「シャンプー台のむこうに」が未見なので、非常に残念。
ビジュアルを重視し(笑)、森川智之が吹き替えているノリエガを選んだ。
スペインの役者なので、ややマイナーかもしれない。
因みに森川智之は2002年に、ポール・ウォーカー(「ワイルド・スピード」)、
クリス・クライン(「ローラーボール」)、マット・シュルツ(「ASHRAアシュラ」)他、
若手注目株といわれる役者を多数吹き替えている。今後が楽しみ。
寺杣昌紀は「新人」に該当しない、キャリアのある役者だけど、
森川智之吹き替え作品リストには初登場。
森川ファンにも馴染みがない役者だと思うので、敢えて選んでみた。
カエルという独特の役柄のイメージを差し引いても、
曰く言い難い魅力があるのでは。
内田夕夜は趣のある声と演技が印象に残っている。非常に台詞の少ない役だったので、
もっと聴いてみたいという意味を込めてノミネート。
おしゃべりな親指青年も捨てがたいけど…。
恋人の前で歌う求愛の歌が並んだ。
歌唱力より若者らしい行動力と心意気で、パトリックを選んだ。
どんなシチュエーションで歌ったかは本編でチェックを。
センスの良さで「チューブ・テイルズ」に 。カッコ良さなら「ブロウ」。
フランス、イギリス、アメリカ、ドイツ、スウェーデンと並び、
映像にもお国柄が出ている。好みだと思う。
70年代の色彩と映画らしい映像の「ブロウ」。
スタイリッシュな「ニキータ」、カルトなテイストの「アナトミー」。
ドキュメンタリー風、リアルな映像の「ブラックホーク・ダウン」。クリアな色彩、
静かで硬質な画面の「エグゼクティブ・プロテクション」と「セッション9」。
「ブロウ」か「ブラックホーク・ダウン」だと思うけれど…。
迷った挙げ句、「セッション9」を選んだ。
映画賞対象外でノミネートできなかったTV放映の吹き替え作品から、
2人の演技に特別賞を贈りたい。
3作品とも野外でのラブシーン。
「チューブ・テイルズ」はありそうもない地下鉄のホーム、
「ボディ・ショット」はいかにもありそうな駐車場でのシーン。
「ダイアリー アンナの秘密」は庭園の片隅で。
これは文句なく、「ダイアリー アンナの秘密」。
作品が作品なだけに反則に近いけれど仕方がない。
見過ごすには惜しい(笑)、職人芸的、息の演技だと思う。
他の2作品も短いシーンだけれど息遣いがセクシー。
厨川さん、楽しい企画、どうもありがとうございました。